THE iDOLM@STER 長編::伊織の再出発
激震(1)
その日、山本は事務所に行く前にいつものように朝食を買おうとしていた。
立ち寄ったコンビニで、奥の飲み物コーナーに向かう。
何の気無しに書籍コーナーを通り過ぎようとした瞬間、ギクリとした。
視界の端に水瀬の字が見えたのだ。
あわてて週刊誌コーナーを確認すると、以前伊織の記事を載せたのと同じ週刊誌の表紙に、「水瀬産業と765プロダクションの黒い繋がり」というタイトルが大きく掲載されていた。
「やられた…!」
小さくつぶやいて、つかみ取るようにしてその週刊誌を取り、該当のページを開く。
伊織がコネで事務所に入ったことや、その見返りとしての765プロへの資金供与、その資金を用いての強引なプロデュースなど、事細かに水瀬氏と高木社長の交際まわりのことについて書かれていた。
「悪徳め…っ!」
思わず週刊誌を握りしめるが、そんな場合ではない。
あわてて週刊誌を買い、コンビニを飛び出し、事務所に急ぎながら携帯電話で社長に連絡を取る。
小鳥が電話口にでたが、急いで社長に取り次いでもらう。
「社長!今日発売の週刊誌みましたか!?」
「ああ、今みているところだ…この記事は…」
「悪徳の仕業ですよ、間違いありません」
「うむ…」
「とにかく、今そちらに向かってますので」
「うむ。急いでくれたまえ」
電話を切って、タクシーを拾う。
前回の記事から1週間しか経っておらず、伊織のイメージ低下は全くリカバリ出来ていない。にもかかわらず、このような記事が載せられては、伊織のイメージは壊滅的打撃を受けることは間違いない。
いや、それだけではない。今度の記事は765プロ全体に関わっている。ことは伊織だけですまない可能性がある。
タクシーを事務所前につけ、社長室に急ぐ。
挨拶もそこそこに、記事について、今後の対策の話し合いが始まったが、いっこうに有効な策は出てこない。
ふたりの間に沈黙が降りたが、唐突に社長がつぶやいた。
「しかし、この記事…うまく誤解を誘導する様に書かれている…」
「この記事はどの程度真実なんですか」
「事務所設立の際に水瀬に借金したのは本当だ。しかし、その金はすでに返済した。
水瀬に頼まれて伊織君をうちで預かることにしたのもある程度本当だが、君も知っての通り、伊織君はきちんとうちのオーディションをパスした。あのときの審査に関しては手心は加えなかったつもりだ」
「…なるほど…」
「とりあえず、水瀬とも相談しなければ…今日の伊織君の予定はどうなっているのかね」
「今日は今からハルモニアのレッスンです。デビュー直前なので追い込みですから…」
「わかった。とりあえず、私は関係者と色々相談しないといけないので、君はとりあえず彼女らの世話をよろしく頼む」
「わかりました」
山本は社長室を出て、急ぎ足で3人の待つ事務室に向かった。
立ち寄ったコンビニで、奥の飲み物コーナーに向かう。
何の気無しに書籍コーナーを通り過ぎようとした瞬間、ギクリとした。
視界の端に水瀬の字が見えたのだ。
あわてて週刊誌コーナーを確認すると、以前伊織の記事を載せたのと同じ週刊誌の表紙に、「水瀬産業と765プロダクションの黒い繋がり」というタイトルが大きく掲載されていた。
「やられた…!」
小さくつぶやいて、つかみ取るようにしてその週刊誌を取り、該当のページを開く。
伊織がコネで事務所に入ったことや、その見返りとしての765プロへの資金供与、その資金を用いての強引なプロデュースなど、事細かに水瀬氏と高木社長の交際まわりのことについて書かれていた。
「悪徳め…っ!」
思わず週刊誌を握りしめるが、そんな場合ではない。
あわてて週刊誌を買い、コンビニを飛び出し、事務所に急ぎながら携帯電話で社長に連絡を取る。
小鳥が電話口にでたが、急いで社長に取り次いでもらう。
「社長!今日発売の週刊誌みましたか!?」
「ああ、今みているところだ…この記事は…」
「悪徳の仕業ですよ、間違いありません」
「うむ…」
「とにかく、今そちらに向かってますので」
「うむ。急いでくれたまえ」
電話を切って、タクシーを拾う。
前回の記事から1週間しか経っておらず、伊織のイメージ低下は全くリカバリ出来ていない。にもかかわらず、このような記事が載せられては、伊織のイメージは壊滅的打撃を受けることは間違いない。
いや、それだけではない。今度の記事は765プロ全体に関わっている。ことは伊織だけですまない可能性がある。
タクシーを事務所前につけ、社長室に急ぐ。
挨拶もそこそこに、記事について、今後の対策の話し合いが始まったが、いっこうに有効な策は出てこない。
ふたりの間に沈黙が降りたが、唐突に社長がつぶやいた。
「しかし、この記事…うまく誤解を誘導する様に書かれている…」
「この記事はどの程度真実なんですか」
「事務所設立の際に水瀬に借金したのは本当だ。しかし、その金はすでに返済した。
水瀬に頼まれて伊織君をうちで預かることにしたのもある程度本当だが、君も知っての通り、伊織君はきちんとうちのオーディションをパスした。あのときの審査に関しては手心は加えなかったつもりだ」
「…なるほど…」
「とりあえず、水瀬とも相談しなければ…今日の伊織君の予定はどうなっているのかね」
「今日は今からハルモニアのレッスンです。デビュー直前なので追い込みですから…」
「わかった。とりあえず、私は関係者と色々相談しないといけないので、君はとりあえず彼女らの世話をよろしく頼む」
「わかりました」
山本は社長室を出て、急ぎ足で3人の待つ事務室に向かった。
| Copyright 2006,03,03, Friday 01:26am 瀧義郎 | comments (0) | trackback (0) |
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