前の情報が六月ってマジありえん……反省しろ自分。

というわけで、もう見ていらっしゃる方もいない気がしますが。瀧です。こんばんは。

冬コミ、スペース取れております。
斬龍書房 三日目西ね-19b

新刊、きちんとできました。

今回の内容ですが……アイマス世界をベースにはしましたが、ほぼオリジナルになりました。
十二年経ったアイマス世界に、今現在の状況から考えられる将来像を追加しています。
その中でアイドルとして奮闘する二人の女の子と、一人の男の子のお話です。

もちろん、アイマスですから。アイマスのキャラクターにもご登場願っています。
今回出てくるのは、やよいと律子。律子は今後、物語の中心的なメンバーになっていく予定です。

ちなみに、新刊の内容は現在、pixivに一節ずつアップして行っています。
こちらがプロローグになります。

http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=694129

最終的に全てアップされますが、本の方もこだわって作ったので、機会のあるかたは是非お手にとってご覧下さい。

まあ、そんな話はともかくも。

もうね。とりあえず。
書いてる最中ちょー楽しかったです。
久しぶりに、自分が楽しんで書いてるなーって感じがしました。
あまりにも書きすぎて、コピー本なのに60ページというわけわからないことになってしまいましたが。

いろいろ導入して、無線綴じにしてみました。コピーだけど見た目オフセ! という。

ともかく、内容はかなり頑張りました。良かったら、コミケでブースによって下さいね!

瀧です。
 
先日の土曜日退院しましたが、結局回復にはいたらず……現在自宅療養中でして。
残念ながら、結局6/25(土)にある「フリーダム」は欠席させていただくことになりました……。くっ。
 
ちなみに、自分のスペースは、お隣の「BOTTAKURIレディー」さん@ぢんさんと楓月さんのサークルにお貸しすることになりました。

こ、コミケに注力するんだからね! 勘違いしないでよねっ!

ぐぅう。フリーダムとライブ行きたかったよぅ……(T_T

瀧です。
 
昨日手術があって、今日はその翌日。
カテーテルとか点滴とか体中管だらけでめったに動けないのは超辛いですが、お掃除のおばちゃんが俺を見て「昨日の今日で元気やなあ」というくらいには元気です。ちなみに俺がPC使ってるのを見ておばちゃんから出てきた言葉。
 
とりあえずなんか、色んな人に迷惑をかけていると自覚しつつも、どうしようもないので歯がゆい感じ。ほんとに申し訳ない。
とりあえず、ここで出来る仕事もやりますが、がんばっていろいろ書こうと思っている次第。

ではまたです!

瀧です。
 
すみません、今週末のカラフルマスターに出席予定でしたが、まさかの骨折でいけないことが確定しましたorz

というわけで、当日欠席します……。すみません。
 
ちくしょおおおおおおおお! いきたかったよぉおおおお!

瀧です。
 
というわけで、都産祭内のイベント、My Best Friend 4内のプチオンリー(ややこしい)イオリフェスティバル2に参加してきました。
 
前日はMBFで配布されるカードの封入を手伝ったりして、ふたき旅館で最後の合宿を楽しみ、そのままほぼ徹夜での参加。
途中で寝たりしないかと不安に思いつつ、浜松町へ移動しました。
 
さて、この日は売り子で炒飯&居酒屋KIICHIの店長さんかつNovel_YやNovel_Iで書いてくれた久留里さん、さらに、新刊の絵を描いてくれたO_Joくんが来てくれる予定。
O_Joくんに電話をかけてみる。
 
「お、O_Joくんおはよー!」
「……お゛は゛よ゛う゛ご゛ざ゛い゛ま゛ーす゛」
「……何どしたのその声。なんか体調悪い?」
「……バレましたか」
 
イヤバレたって言うか。声聞いたら一発ですが。
話を聞いてみると、どうやらアサリかなんかにあたったらしく、腹痛がポンポンペインだそうで。
 
 
まあ、当然、しょうがない、ので。無理せず休めと言って切りました。
 
チケット浮いちまったなーと思って、都産貿前にあるコンビニで朝ご飯買ってたら、まじんさんから電話。
 
「おお、まじんさん。おはよー」
「あー、瀧さん。あのですね……言いにくいんですけど……」
 
ぎくりとする俺。いろいろと思い当たることが胸を去来。
あれかしら、これかしら。
絶交とか言われたらどうしよう。
 
「……チケット余ってませんかね?」
「そっちかーっ!」
 
なんか、サークル入場だったんだけど、持ってる人が寝坊して大騒ぎなんですって。
もちろん、さっきのことで余ってたので快く譲って、中に入りました。
 
 
家から送った荷物がちゃーんとスペースに届いてます。
準備はまかせろーバリバリと開けて、手早く終了。
Novel_Yと新刊の「私とお酒とキス」を持って、ご挨拶へ。
ご近所の金魚さんとかりんねさんとか、もちろん霧島せんせーやはんのこしょんぼりさん、中の人姉さんたちNovel_Y関係者にご挨拶に行きました。その途中で、久留里さんとも会って合流。
 
 
帰ってきて、ふと右隣を見ると、右隣は横浜レモネードさんです。
もう開場近いというのに、更紗さんまだ来てません。どうやら遅刻らしい。
色紙を狙ってきている常連さんに聞いてみると、更紗さんは遅刻芸とやらの持ち主だそうで。
まあ、もう準備は終わっていたので、同じく近所の高陽さんと一緒に、チラシをまとめておきました。
 
そして開場! ひゃっほい!
 
 
……
 
 
…………
 
 
……………………
 
 
 
人来ません。
 
 
まあ……もともと位置的にどうかとは思ってたんですけどね!
開場の窓側の隅っこで。
18禁エリアが真横にあるけど、そことはテープって言うか仕切りで切り離されてるし。
横レモさんのお客が少しは流れてくるのか!? と思ってましたが更紗さんまだ来てないし。
 
でも、そんな中でも久留里さん、横レモさんに並んでるお客に声かけてくれてたりしてて。超感謝です。
 
そんで、さっき回ったときには会えなかったもろもろの人に挨拶めぐり。
ポメさんところに行って、「Novel_J(upiter)やらないの?」とか煽られてけっこうその気になってみたり。
くうみさんところに行って、あのとかち時計ミニチュア版をゲットしたり。←キイチに寄贈
ぢんさんところに行って、ギャグマンガ偶像買ったり。
スペースに戻ったときに始まっていた、更紗さん直筆色紙争奪戦に参加して見事勝ち抜いたり。
 
そんなこんなで回っているうちに、なんか気がついたら……。
 

双海亜美・真美ノベルアンソロジーをやる気になってました。アルェー。

 
ポメさんに言われたノベル木星じゃないのかよ俺! ……とか思ったけど。
木星はいっぺん自分でもソロで書かないと書けるかどうかわかんないしぃ……。
 
あ、そうそう。なからいあきらさんに伺ったのですが。
やおいとBLは明確に線引きができるそーです。
BLはヤっちゃうことがメイン、やおいは恋してドキドキ的なものがメイン、ということだそうで。
今まで逆に思ってました!
 
だからとりあえず木星はBLとやおい勉強します。最近ちょっと読んでるしね!
 
閑話休題。
 
というわけで、来年の亜美真美オンリー(あればですが)合わせで、のべるあみまみやります。
執筆者集めなくっちゃ。コンセプトは、また面白いの考えますよ!
 
という感じでいろいろ交流進めていると、新刊も全部無くなっちゃって。
一瞬、ヒャッハー完売! とか思ってみましたが。
配った数冷静に数えてみたら、持ち込み40のうち30近く配ってたのでオイ! 売れてねえよ! って感じでした。
 
でもNovel_Yはそこそこでたかも。霧島さんところで9冊も売ってくれたし。
でもまだまだ箱ごと余ってますんで、皆さんよろしくお願いします。
カラマス出ますよ! 来週日曜日の!
 
……と、そんなこんなでイベントは終わり。
 
いいことばっかりで、ほんと楽しいイベントでした。
 
相手してくださったみなさま、本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします!

瀧です。

今年のGWはいろいろあったのでいろいろ書きたいのですが。
なんかもういろいろすぎて箇条書きで無いと書ききれません。

5/3
・ふたき旅館でアイマス合宿に参加
・MBF4でサークル参加
・MBF4後、Novel_YとYkとMBF合同誌の打ち上げに参加
・二次会としてカラオケに参加

5/4
・ロボ太祭とゆう、ロボアニソンしか歌わないライブに参加
・その後徹カラに参加

5/5
・友人宅でとても美味しいお肉を食べる会に参加
・さらに秋葉で同人仲間と焼き肉に参加

5/6
・仕事に参加 orz

5/7
・まさかの東京とんぼ返りでお昼に秋葉に到着し、遊んでくれる友人と秋葉散策に参加
・今週三度目のカラオケに参加
・キイチ店長誕生ぱーちーに参加
・更に今週二度目の徹カラ、カラオケとしては四度目に参加

5/8
・ぼろ切れみたいになってぷらっとこだまに参加

どんだけ東京好きなんだよ、俺。

いや大好きですけど。友達いっぱいいますし。

とりあえずMBFのレポだけは詳しく行っときたいと思います。ネクスト記事へ。

「えーと、あと十人くらいか……」
夏樹はエントリーシートを投げ出して、伸びをする。
やっと終わりがみえてきた。

「で、夏樹君、どうかね」
「どうかねも何も……。これ、誰が書類選考したんですか」
思わずため息を吐く。今までの所、ほとんどが話にならない。
ほとんどの受験者は「アイドル」というところに目を奪われて、「歌手」というところには目が行かなかったらしい。のうのうと「女優志望です」とのたまった娘すらいた。

そんなの、なんで書類審査でなんで落とせなかったんだ、と思う。

765プロはあくまで「アイドル歌手」の事務所だ。
グラビア撮影やドラマ出演などがないわけではないが、あくまで歌手プロデュースの一環であって、他の活動の比重はかなり軽い。
女優志望なら、別のプロダクションに行くべきだろう。

「アイドル〝歌手〟のオーディションって、ちゃんと募集要項に書いたんですか?」
「いや、まあ、そのアレだ……うん。書いたはずだと思うよ?」
「もう……」
夏樹は机に突っ伏した。
連日の激務が響いている上に、これはキツい。
『やっぱり、なんとしても断るべきだった……』
しかし……断ったら、アルバム制作の予算が……。
なんとか、萎えそうな気力を奮い立たせて起き上がる。
これも、あずさ、千早、真のためだ。

「うーむ……では、今のところ、有望な娘はいないと?」
社長はパラパラと書類を眺めている。
「うーん……まあ……」
夏樹は面接済みの娘のエントリーシートを手に取って、付箋の貼ってあるものを取り出した。
「これまででいうなら、この星井美希って娘はいいと思いますよ」
ルックスも抜群だし、ちょっと甘えるような感じの声質もいい。
面接でどうどうとあくびをやってのける度胸も、ある意味すごい。
個性と将来性ではずば抜けているといえる。
「そ、そうかね? いや、照れるじゃないか、夏樹君」
社長は嬉しそうに頭をかいた。
「はぁ……? なんで社長が照れるんですか」
「あ、いや。実は、彼女は私がスカウトしてきたんだよ」
「へー。社長、いい目してますね。その目があれば大丈夫ですよ。じゃ、わたしはこれで……」
「いやいや。さ、次の娘を呼ぼう!」
「……もう、私いなくてもいいじゃないですか……。
 もう午後に食い込んでるんですよ。予定が……」
「いやいや。君の代役はきちんと手配しただろう?
 逸材はこの後に隠れてるんだよ、夏樹君!」
「もー……」
こんなときは手回しがいいんだから、と言う言葉を飲み込んで、もう一度伸びをした。

次の娘のエントリーシートを取り出して、机の上に置く。
『はぎわら……ゆきほ、か……』

雪歩は椅子に座って、水筒に入れてきたお茶を飲んでいた。
いつも、どんなときも、体と心を温めてくれるとっておきの玉露。
なのに今日は、何杯飲んでも全然効果がない。

『うぅ……』

緊張もしているし、不安でもある。
が、何より、びりびりと肌を刺激する、周りの敵意に耐えられなかった。
周りのみんなが雪歩を見てバカにしている気がする。

『このお茶が美味しくないなんて……』

哀しくて涙が出そうになった。

それでも、お茶を飲む以外に、することもなかった。
小さい体を一層小さくして、音も立てずにお茶をすする。

このお茶でもう五杯目だ。
水筒のお茶も、もう残り少なくなってきている。

無くなったらどうしよう、と思い始めた頃に、ドアが開いた音がした。
顔を上げると、入り口のところにさっきの受付の女の人がいた。

「みなさん、こんにちは!
 765プロ新人発掘オーディションへようこそ!」

その場にいる全員に緊張が走る。
雪歩も慌てて椅子から立ち上がろうとしたが、完全に体が縮こまっていて、立つことができなかった。
「あ、そのままでいいですよー。リラックスしていてください。
 私たちは皆さんの笑顔を見せてもらいたいですからねー。皆さんのファンも同じですよー?」
軽い笑いが起き、少しだけ場の緊張が緩んだ気がする。
だが、雪歩の緊張はまったく緩まなかった。
いつもなら微笑むくらいのことはできるだろうに、顔がこわばって口角を上げることすらできない。

「それでは準備ができ次第、みなさんの番号をお呼びしますので、呼ばれた方は速やかに隣室に行ってください。
 では、がんばってくださいね!」
そういって女の人は出て行った。

雪歩はうつむいた。
ここにいるのは間違っているという思いが、雪歩を捕らえて離さなかった。

こんな居心地の悪い場所、早く出て行ってしまいたい。

オーディションはつぎつぎと進んでいる、ようだ。
呼ばれて出て行った娘は、そのまま帰ってしまった娘もいれば、戻ってきた娘もいた。
淡々と進んでいるのだろう、定期的にあの女の人が呼びに来た。

雪歩はすでに、お茶は飲み干してしまった。
冷たくなった水筒のコップを持って、底にわずかに残ったお茶が乾いていくのをじっと見ていた。

「ねえ」
「え?」
突然話しかけられ、驚いて顔を上げた。
いつの間にか目の前に、くせ毛の長髪を金に染めあげた女の子が立っていた。

「そんなにうつむいてちゃ、ダメだと思うな、ミキは」
「え、あの……?」
「どーしてそんなにクラくなってるの? さっきこけたから?」
その言葉に反応して、さっきの鞄の娘が怖い顔をしてこっちを見た。
「え、ち、ちがう! ちがいますっ」
「じゃあ、どうしてうつむいてたの?」
「あ、あの……ちょっと考え事を……」
「ふーん」
それだけいうと、その娘は雪歩の隣の椅子にどすんと座った。
そのまま、ぼーっと前を見ている。

『なんなんだろ、この娘……』

雪歩は、ちらちらとその娘を盗み見る。
顔つきからすると年下に見えるが、それにしてはやたらとスタイルがいい。
『すごい……』
一目でボディラインがわかるような服を着ているわけでもなかったが、それでも目が釘付けになるくらい胸がある。
当然『ひんそー』な自分とは比べるべくもない。

「あふぅ……」
その娘は突然大きなあくびをしたかと思うと、こっちを向いた。
雪歩は慌てて、視線を床に落とす。
「ね、名前、なんて言うの?」
「あ!? あ、は、萩原、雪歩、です」
「ふーん、いい名前なの! ミキは星井美希って言うんだよ。よろしくね!」
そういって、その娘は手を差し出した。
雪歩も、おずおずとその手を握り返すと、美希はぎゅっと握り返してにこっと笑った。
妙に人好きのする娘だ。およそ邪気というものがない。

「雪歩は、アイドルになりたいの? だよね。ここに来てるんだし」
「え……そう、かな……たぶん……」
自分でももう、よくわからない。
「ミキはねー、ちょっと違うかも。
 こないだ渋谷歩いてたら、変なおじさんに捕まって」
「えぇ!?」
「エンコーオヤジかと思ったから蹴り上げてやろうとしたら、なんか名刺渡してきたの。
 そしたら、ここのシャチョーだって。そんで、オーディション受けてくれって頼まれたの」
雪歩はぽかんと口を開けた。
『それって、もしかして、すごいんじゃ……?』
あまりにこともなげに言うので、そういうのが普通なのかとも思った。

が、周りの女の子達も、明らかに顔色が変わっている。
「フカシよ、フカシ」という聞こえよがしな声も聞こえてきた。

雪歩は居心地が悪くて身をすくませるが、美希はまったく気にしてる様子がない。

「ミキ、めんどーなのキライだから、やだって言ったんだけど……。
 でもこの事務所、如月千早さんがいるって聞いて!」

突然、美希の口調と表情が変わった。瞳と声に熱っぽさが混じっている。
「あんな風になれるなら、ちょっとくらいは考えてもいいかなーって思って。
 ミキ、Harmoniaの大ファンなの! 路上ゲリラライブ、かっこよかったんだよ!
 突然109の前にトレーラーが止まってねー! すごかったなー……」
美希は、そのキラキラした目のまま、雪歩に向き直った。
「で、雪歩はどうしてアイドルになりたいの?」
「え……どう、して?」

――そういえば、私は、どうしてアイドルになりたかったんだろう?

この部屋に来てから、それを忘れていた。
雪歩はポケットに入っているものの重みを思い出す。
『ひろちゃん……』
上着のポケットをそっと押さえる。

「雪歩?」
「あ、ご、ごめんなさい」
「どしたの? なんか、聞かれたくないことだった?」
「ち、違うの。そうじゃなくて……私……」

言葉を探していると、雪歩の番号が呼ばれた。
「26番の方ー」
「あ、は、はいっ!」
慌てて立ち上がり、荷物を持って小走りにドアに向かう。
ドアから出る直前、雪歩は座ってた場所を振り返った。
美希は、笑顔でひらひらと手を振っている。
「いってらっしゃーい」

「はぁー……」
雪歩は思わず、気の抜けたようなため息をついた。
はじめてみる芸能事務所は、意外と普通だった。むしろ、一見するとマンションのようにも見えなくはない。
煉瓦造りの三階建てほどの建物で、入り口の門の脇に『(株)765プロダクション』という看板が掛かっている。

「ここであってる……んだよね」

雪歩はひろちゃんに渡された資料を鞄から取り出した。
資料の入ったA4の封筒には、看板と同じロゴがある。雪歩は小さく頷いた。

もう一度建物をみると、足がかたかたと小刻みに震えはじめた。
震えを抑えるかのように、ぐっと書類を握りしめる。

――やっぱり、怖い。

雪歩は、まだ迷いが抜けきってないことを自覚する。
犬に吠えられた勢いでやるといったものの、今日まで何度も決意がぐらついた。

本当にやっていけるのか。そもそもアイドルってどういう仕事をするのか。
犬よりマシとはいえ、男性が苦手な自分でも、やっていけるようなものなのか。

『――はっ! だめだめっ』

ネガティブな気分が充満しつつある。雪歩はぶんぶんと頭を振った。
ぐっと胸を張る。形だけでも飲んでかからないとっ。

「た、たのもーっ」

こないだテレビで見た、道場破りのマネをして門をくぐってみた。
うん、なんか、元気が出たかもしれない。

スモークグラスの自動ドアが開いたら、すぐ正面に簡素な受付ブースがあった。
ブースの中に、ライトグリーン基調の事務服をきた女性が座っている。
雪歩よりやや短いくらいの髪で、耳元にインカムが見えていた。

彼女は、雪歩をみてにっこりと笑った。
「こんにちは! オーディションを受けに来た方ですか?」
「あ……は、はいっ」
「エントリーシートを出してください」
「えんとりーしーと?」
「送付書類に入っていませんでしたか?」
「あ、はいっ」
慌てて封筒を探る。昨晩書いたアレだ。
封筒をごそごそと探ったが、なかなか出てこない。
「あ、あれ、おかしいな……」

受付の人は小首をかしげている。もしかしたら、疑われてるのかもしれない。
そう思うと、ますます焦ってしまう。ともかく書類を出そうと、封筒を逆さにした。
「あ!」
出てきた書類を取り損ねて、全部の書類が床に大きく散らばってしまった。
「あらあら」
「あああ、すみませ、すみませんっ」
しゃがみ込んで、慌てて集めてると、受付の人がブースから出てきて手伝ってくれた。

もう、恥ずかしくて、穴があったら入ってしまいたい。

急いで書類をかき集めていると、その中に、小さな名刺大のカードがあることに気が付いた
「……?」
拾い上げて裏を見ると、『がんばれ、雪歩!』という字が目に飛び込んできた。
ひろちゃんの字だ。
「あ……」
「はい、これ」
受付の人が書類を渡してくれた。「お友達?」と言って、にこりと笑う。
嬉しくて、胸がいっぱいになった。
「……はい。応募してくれた、友達なんです」
「そっかー。じゃあ、お友達のためにも、がんばらないと!」
「はいっ!」
「じゃあ、エントリーシートを」
エントリーシートを取り出し、受付の人に渡すと、12と番号の書かれた小さな紙を渡してくれた。
「これがあなたの呼び出し番号です。
 こちらのエレベーターから、三階にあがって正面の部屋がオーディション参加者の待機場所です。
 がんばってね!」
「あ、ありがとうございますっ」
頭を下げて、エレベーターに乗った。

雪歩はエレベーターの中、左手でそっと胸を押さえる。
どきどきと高鳴っているのがはっきりわかった。不安もあるし、もちろん緊張もしている。

でも、今。右手にある友人のメッセージカードは、それを上回る力を雪歩に与えてくれていた。
『ひろちゃん……! わたし、がんばる……っ』
雪歩はそれを大切に、上着のポケットへしまい込んだ。




エレベーターを降りると正面に、『オーディション受験者控え室』という張り紙があった。
この部屋がさっきの事務の人が言っていた待機場所らしい。

そっとドアを開けると、すでに十四、五人の女の子がいた。
「あ、あの……こんにちは……」
一応、挨拶をしてみたが、誰も雪歩を見ようともしない。

いや、ちらりと視線を投げてきた娘はいたが、敵意のこもった目を一瞬みせ、すぐに視線を外した。

『え、どう……して? ……あっ』

そうか、と雪歩は思い当たった。
オーディションは単なる面接などではなく、この中で誰かがアイドル候補生として選ばれる、と言うことなのだ。
応募書類には、合格者の人数は「数名」とだけ書かれていた。
別の言い方をすれば、ここにいる人間はみなライバルで、蹴落とすべき敵なのだ。

気付いてみると、部屋は、ぴりぴりと音が聞こえそうなほどの緊張感で満たされていた。
みんなそれぞれ、なにかの紙を見ながらブツブツ言っていたり、部屋の壁面に張られた大きな姿見で身だしなみを整えたりしている。

当然可愛い娘ばかりで、明らかに自分は見劣りしている気がした。

『で、でも……私、がんばらないと……』

ともかく、落ち着こう。幸い、水筒にとっておきの玉露を淹れてきた。
部屋を見回してみると、隅の方にだれも座っていない椅子があった。
『あ、あそこで……』
と、足を出した瞬間、突然何かが引っかかった。
「あうーっ!!」
盛大にすっころんだ。部屋中に響くような音がした。
したたかに顔を打ち付けて、ひりひりしている鼻をこすりながら起き上がる。
足下を見ると、誰かの鞄のヒモに引っかかっていた。
「ちょっと、それ、あたしのカバン!」
駆け寄ってきたその女の子はその鞄を拾い上げ、雪歩をギッと睨んだ。
「ご、ごめんなさいぃ」
「気をつけてよね! もう!」
その娘はひったくるように鞄を取り上げた。

気が付くと、部屋中の注目を浴びていた。
周りからくすくす、という嘲笑が聞こえる。

『うぅ……やっぱり、私なんかが来ちゃダメだったのかも……』

765プロ社長・高木純一郎は、困り切った顔で指を組んだ。
社長のデスク前には、黒いスーツ姿でハーフフレームの眼鏡をかけた女性が、渋い顔で腕を組んで立っている。
「そういわずに頼むよ……夏樹くん」
夏樹と呼ばれたその女性は、「イヤですよ!」ときっぱり言い切った。
耳にかかった髪を、不愉快そうに後ろへと跳ね上げ、しっかりと腕を組みなおす。

「どうして私がアイドル候補生の面接を!?
 そんなの、契約にありませんし、第一私はいま、途方もなく忙しいんです!
 社長もご存じのはずでしょう!?」

実際、その女性――佐藤夏樹は忙しかった。
フリーのプロデューサーとして、過去に数々の名ユニットを育て上げた夏樹は、今は765プロに所属していた。
ユニット「Harmonia」のプロデューサーとして、である。

Harmoniaはついこないだまで、デビューも危ぶまれるほどのスキャンダルで潰れかけていた。
数々の根回しと一発逆転の秘策で、まとわりつく悪評を見事吹き飛ばし、やっと世間の注目度をあげることに成功したところだ。
逆にいえば、今が絶好の機会なのだ。今、アルバムを作らなければ、世間に忘れられてしまう。

もちろん、すでにアルバム制作の作成作業には入っている。今日も某スタジオで新曲のレコーディングをしていた。
その他、PVの制作や広告会社との折衝など、やらねばならないことは引きも切らない。

Harmoniaのメンバー、三浦あずさ・如月千早・菊地真の、三つの輝く才能を世に出すのが夏樹の契約であり、使命でもある。
今は、それ以外の全てが煩わしかった。

まして、新人アイドルの発掘などという、契約にもなければ関係もない仕事に関わる時間は一秒たりともない。


「しかしだね夏樹くん、わがプロダクションも目玉となるアイドルをもっと増やしていかなければ……」
「それはそうでしょうけれど」
夏樹は眼鏡をくっと押し上げて、眉根を寄せて、厳しい表情を作った。
ここは強硬に拒否しておかねば、押し切られてしまう。
とりつく島は、絶対に作ってはならない。

「私の契約は、765プロの代表となりうるアイドルを育てること、です。
 Harmoniaを育てている今、他の娘を見いだす理由はないし、その娘に関わる気もありません」
「いや、君に新しいアイドルをプロデュースしてくれ、というつもりはないのだよ。
 そうではなく、これまで多数、アイドルを育て上げてきた君の目からみて、有望な新人をだね……」
「だから、それは私の仕事じゃありません! 社長がおやりになればよろしいでしょう!」

社長と、目線をしっかりあわせて言い切った。


社長は頭をかいて、夏樹の視線を外し、くるりと椅子を回して背を向けた。
「こまったな……」
ふぅと息をついて、遠くを見ている。
「ああ、Harmoniaのアルバム発売も近いというのに、我が社には次のプランもない……。
 このままでは、Harmoniaのアルバム制作資金もままならないかもしれんな……」
「!」
夏樹は組んでいた腕を解き、慌てて社長のデスクに手をついた。
「ちょっと待ってください、社長! それはないですよ!」

夏樹はこれまでのプロデュース過程で、当初定められた資金をかなりオーバーしていた。
Harmonia以外でそんな失態を犯したことはないのだが、今回はスキャンダルの火消しや、強行したファースト・ライブなど、様々な面で予想外の出費が重なった。
デビュー前だったこともあって、そのときの資金が未だ回収できていない。
この間、渋る社長を説き伏せ、懇意の広告代理店などとも連携しつつ、やっとファーストアルバムの制作費を確保したところなのだ。
ここで予算をカットされては、Harmoniaのアイドル生命に関わる。

「おや、何か聞こえたかな? 私は独り言を言っただけだが……」
「~~~っ、この……」
勝負は決した。
不本意で、心外で、無念この上ないが、不承不承、引き受けざるを、得ない。
デスクに手を突いたまま、うつむいて小さな声を出した。
「……わかりました、やればいいんでしょう」
「おお、やってくれるか!」
「ただし!」
キッと顔を上げて、譲歩の限界を突きつけておく。
「午前中だけですよ! その日は午後から、大きな予定がありますから!」
「いや、よかった。ありがとう! 君の慧眼《けいがん》を期待しているよ!」
これ以上この場にいたら、何を押しつけられるか分からない。
踵を返してさっさと部屋を出た。


バタンと社長室のドアを後ろ手に閉じ、夏樹は深く息を吐いた。
「……クソタヌキっ!」
結局、押し切られてしまった悔しさを吐き捨てて、Harmoniaメンバーの待つスタジオへと向かった。

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