THE iDOLM@STER 長編::伊織の再出発
エピローグ
それ以降、Harmoniaのプロデュースはとんとん拍子に進んだ。
Vocal Master への出演も、初回こそゲスト扱いだった物の、次週には自力で10位内に入る事ができた。
と言うのも、渋谷ゲリラライブの様子を撮したビデオがインターネット上で出回り、フルコーラスで聞いてみたいというリスナーからの欲求が、急激に圧力を増したからである。
それに対応する形で、PV付きのマキシシングルCDを1200円という通常マキシ並の価格で発売し、同時にダウンロード販売も行った。また、CMスポットを深夜帯とVocal MasterのCM 枠で放映した。
すべて絶妙のタイミングで投入が行われ、一気呵成に事は進んだ。
山本の面目躍如たる部分である。さすが三日も行方不明になっただけのことはあった。
しかし、おかげでオフ日を設定することができず、伊織たちは1月ほど仕事漬けの日々が続いたが、今日やっと半日仕事が開いた。
しかも日曜日。絶好のオフ日和だ。
とりあえず一旦事務所に帰って、解散になった。
「ん〜…久しぶりのオフだけど、なにをしようかしら〜」
「私はそうねえ…うーん」
「突然オフとかいわれても、何もすることないよねー」
三人は急に貰ったオフをもてあます。
しばらくなんて事もない話をしていたが、誰かがお腹がすいていたことを思い出し、昼食を取りに行こうと言うことになった。
「昼食ねー。どこに行く?」
「ん〜。もし、伊織ちゃんと真ちゃんがイヤじゃなければ、前に行ったピザやとかどうかしら?」
「あ、いいですね!また行きたいと思ってたんです!」
「そうねぇ。まあ、いいんじゃないの」
「またまたー。行きたいクセに。伊織がそんな言い方する時はたいていかなり行きたい時なんだよね」
「うっさいわね!真こそ本心簡単にみせすぎなのよっ!」
「ってことは、やっぱり行きたいんでしょ?」
「うっ…」
「はいはい。軽いコントも終わったところで、行きましょうか〜」
「か、軽いコント扱いですか…」
伊織が真に耳打ちした。
「あずさって…ぼーっとしてるように見えるわりに変なとこで仕切りうまいわよね…年の功?」
あずさは笑顔で伊織に振り返る。
「なにかきこえたかしら?」
有無をいわせぬ様子に、伊織は思わず、なんでもありませんと丁寧語で答えてしまう。
準備が調い、タクシーを拾いに事務所玄関におりる途中、あずさが伊織に言った。
「ねえ、伊織ちゃん」
「何?」
「私、あなたにお礼が言いたいの」
「?何よ、突然…」
伊織はあずさの意図を図りかねる。
「私は、伊織ちゃんと真ちゃんのおかげで、今ここにいると思っているわ。私に、力を貸してくれて…ありがとう」
「?だったら、真にも言わないとダメじゃない?」
伊織は、あずさの言っていることがやはり飲み込めない。
あずさは少し伊織を見て、ふふふと笑う。
「伊織ちゃん、覚えていないのね。と言うことは、もう、ソロのほうがよかった、って思っていないって事かしら?」
その言葉を聞いて、伊織は以前の事を思い出した。
あずさは突然、伊織の家に来て私に力を貸してくれと言ってくれた。
あのときは、プロデューサーへの不信感が渦巻いて、自分がどうしたらいいのかわからなくなっていた。
その中で、あずさにソロのほうがよかったと言いはなったこと。
そして…あずさに、私に力を貸して欲しいと言われて、残ってみようと思ったこと。
すっと耳の横の髪をかき上げて、伊織は言った。
「トリオもまぁ、いいんじゃないかしら」
「ふふふふっ。さっき真ちゃんが、伊織ちゃんがそういう時には、いいと思ってる、って言ってたわね」
「…うっさいわね」
「うふふふふっ」
Vocal Master への出演も、初回こそゲスト扱いだった物の、次週には自力で10位内に入る事ができた。
と言うのも、渋谷ゲリラライブの様子を撮したビデオがインターネット上で出回り、フルコーラスで聞いてみたいというリスナーからの欲求が、急激に圧力を増したからである。
それに対応する形で、PV付きのマキシシングルCDを1200円という通常マキシ並の価格で発売し、同時にダウンロード販売も行った。また、CMスポットを深夜帯とVocal MasterのCM 枠で放映した。
すべて絶妙のタイミングで投入が行われ、一気呵成に事は進んだ。
山本の面目躍如たる部分である。さすが三日も行方不明になっただけのことはあった。
しかし、おかげでオフ日を設定することができず、伊織たちは1月ほど仕事漬けの日々が続いたが、今日やっと半日仕事が開いた。
しかも日曜日。絶好のオフ日和だ。
とりあえず一旦事務所に帰って、解散になった。
「ん〜…久しぶりのオフだけど、なにをしようかしら〜」
「私はそうねえ…うーん」
「突然オフとかいわれても、何もすることないよねー」
三人は急に貰ったオフをもてあます。
しばらくなんて事もない話をしていたが、誰かがお腹がすいていたことを思い出し、昼食を取りに行こうと言うことになった。
「昼食ねー。どこに行く?」
「ん〜。もし、伊織ちゃんと真ちゃんがイヤじゃなければ、前に行ったピザやとかどうかしら?」
「あ、いいですね!また行きたいと思ってたんです!」
「そうねぇ。まあ、いいんじゃないの」
「またまたー。行きたいクセに。伊織がそんな言い方する時はたいていかなり行きたい時なんだよね」
「うっさいわね!真こそ本心簡単にみせすぎなのよっ!」
「ってことは、やっぱり行きたいんでしょ?」
「うっ…」
「はいはい。軽いコントも終わったところで、行きましょうか〜」
「か、軽いコント扱いですか…」
伊織が真に耳打ちした。
「あずさって…ぼーっとしてるように見えるわりに変なとこで仕切りうまいわよね…年の功?」
あずさは笑顔で伊織に振り返る。
「なにかきこえたかしら?」
有無をいわせぬ様子に、伊織は思わず、なんでもありませんと丁寧語で答えてしまう。
準備が調い、タクシーを拾いに事務所玄関におりる途中、あずさが伊織に言った。
「ねえ、伊織ちゃん」
「何?」
「私、あなたにお礼が言いたいの」
「?何よ、突然…」
伊織はあずさの意図を図りかねる。
「私は、伊織ちゃんと真ちゃんのおかげで、今ここにいると思っているわ。私に、力を貸してくれて…ありがとう」
「?だったら、真にも言わないとダメじゃない?」
伊織は、あずさの言っていることがやはり飲み込めない。
あずさは少し伊織を見て、ふふふと笑う。
「伊織ちゃん、覚えていないのね。と言うことは、もう、ソロのほうがよかった、って思っていないって事かしら?」
その言葉を聞いて、伊織は以前の事を思い出した。
あずさは突然、伊織の家に来て私に力を貸してくれと言ってくれた。
あのときは、プロデューサーへの不信感が渦巻いて、自分がどうしたらいいのかわからなくなっていた。
その中で、あずさにソロのほうがよかったと言いはなったこと。
そして…あずさに、私に力を貸して欲しいと言われて、残ってみようと思ったこと。
すっと耳の横の髪をかき上げて、伊織は言った。
「トリオもまぁ、いいんじゃないかしら」
「ふふふふっ。さっき真ちゃんが、伊織ちゃんがそういう時には、いいと思ってる、って言ってたわね」
「…うっさいわね」
「うふふふふっ」
| Copyright 2006,06,10, Saturday 04:56pm 瀧義郎 | comments (0) | trackback (0) |
コメント
コメントする
トラックバックURL
http://takiyoshiro.fem.jp/tb.php/248